もう帰ってこない。
たまに来る、以前神父さんをしていたペドロさんのお話。
昨年クリスマス前、
具合が悪いので買物した荷物を夫に運んで欲しいと言った。
どうやら肺に癌が見つかり23日に手術すると。
うまくいかなければ、もう2度と病院から出れない・・・そう言っていたらしい。
奥さんは癌で亡くなってる。
それから数日後、元気そうに店にやってきた。
『元気そうで良かった』
確かその次の日か。
あれは金曜だったことをハッキリ覚えてる。
ペドロはいつも買ってる大好きな飲み物を買いに来た。
「あれ?ないの?」
「ゴメンナサイ、今切らしちゃって・・・」
次の納品は月曜日、そう23日だった。
手術の日を知っていたので「月曜に来るよ」とは言えなかった。
1月3日。
教会の鐘が鳴った。
男性が亡くなった音。
お客さんと誰だろか・・・と話していた。
しばらくして夫が近寄ってきて
ペドロが亡くなった・・・・と。
まさか。
泣いた。
レジ打ちながら泣いた。
人目もはばからずに泣いた。
だって、あんな元気だったじゃん!
私はペドロに最後、大好きな飲み物を提供できなかった。
彼はどこかで買って飲めたのだろうか。
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